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研究プロジェクト


 私達の研究室では消化器官(膵臓・肝臓・腸)を試験管内で創り、創薬や医学応用への展開を目指して、研究を進めています。試験管内で胚性幹細胞(embryonic stem cell; ES細胞)あるいは人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells; iPS細胞)より消化器官(膵臓・肝臓・腸)を創製する場合には、内胚葉の形成、領域化、細胞分化を経て創製されると考えられている。 私たちは、試験管内で、生体内と同様に機能できるような細胞を創製して、発生分化の機序解明や再生医療の細胞源を創出することを目指している。
 出来上がった細胞・組織は、形態と共に、機能も完成されたものである必要があり、そのためには、発生・分化・機能維持の基本原理を知らなければならない。常に未知なメカニズムを探索し、正常な発生分化、機能維持、再生修復、そして代謝ネットワークに関わる分子メカニズムを丸ごと理解することを目指す。

 研究材料としては、マウス・ヒトES細胞、iPS細胞、あるいはマウス胚、成体を使用します。試験管内で作製した細胞は、正常細胞と同程度の機能を持っているかについて、正常発生過程の細胞や成体細胞と比較解析する。試験管内でヒトiPS細胞から創った細胞は、ヒトの発生分化のモデル細胞として、創薬・医学応用ためのモデル細胞として、貴重な細胞ソースとして活用できる。

 具体的には以下の研究を行っている。

  1. 膵臓・肝細胞・腸への分化誘導方法の開発、分化細胞の性状解析、新規遺伝子探索
  2. ケミカルバイオロジーなどの方法を利用した未知な発生分化再生関連分子の探索
  3. 創薬および再生医学への展開
  4. 代謝と分化の制御機構の解明

 

【研究の背景】
膵臓の発生分化
 膵内分泌細胞には主な細胞として、α、β、δと PP 細胞で、それぞれグルカゴン(α)、インシュリン(β)、ソマトスタチン(δ)及びpancreatic polypeptide (PP) を分泌する細胞があり、膵臓のランゲルハンス島(islet of Langerhans)に存在している。なかでも、β細胞は血中グルコース濃度依存的にインスリンを分泌する機能を持ち、血液のブドウ糖の恒常性を維持するための重要な細胞として働く。膵臓の発生分化、β細胞の再生の機構を理解することは、糖尿病の治療の観点上、大変重要である。膵臓は内胚葉に由来する臓器で、マウスでは胎生9.5日に前腸(foregut)の内胚葉の特定の部位から膵臓原基が形成され、ここに内分泌細胞、膵管と腺房細胞への多分化能を持つ前駆細胞が存在し、そこから内分泌細胞が分化してくると考えられている。図1には、1つの卵、あるいはES細胞から、膵臓β細胞に至る発生分化の細胞系譜を示す。遺伝子発現変化、膵前駆細胞の起源の追跡、誘導シグナルの本体などについて正常胚発生・ES/iPS細胞を用いた研究の両方からのアプローチを行っている。

 

試験管内分化誘導
 マウス胚性幹細胞( ES細胞:embryonic stem cell)が1981年に樹立されてからは、それを使ってキメラマウス、遺伝子ノックアウトマウスの作製などの技術が確立され、マウスの遺伝学解析においては中心的な役割を担っている。 '98年にはヒトES細胞が樹立されて 9 からは、再生医療における可能性を秘めることで、ES細胞を用いた分化研究がにわかに注目を集めるようになってきた。マウスES細胞を in vitro 培養下では、その条件を変えることで、種々の分化した細胞に誘導することが可能である。胎児の幹細胞や、成人幹細胞に比べると、in vitro でドナー細胞を大量に用意できる点、遺伝子改変を比較的に容易に行える点で、臓器の修復、再生などには有用性が高いと考えられる。また、アクセスのしやすさや、リアルタイムで観察できる点から、ES細胞の分化の系は発生分化の解析のモデル系として非常に有用な系である。近年人工多能性幹細胞(iPS細胞)が樹立され、ES細胞と同様に分化多能性を持っていることが示されており、iPS細胞を用いた試験管内分化誘導研究が進められるようになった。私たちの研究室では、ES/iPS細胞を用いて、膵臓を初めとする消化器官の発生分化過程をIn vitroで再現させて、たとえば膵臓系譜の場合においては、ブドウ糖の濃度に反応してインスリン分泌するような膵臓β細胞を創製することを目指している。ヒトES/iPS細胞を用いることで、ヒトのモデル細胞として発生分化途中細胞や最終分化細胞を提供し、再生医療の細胞源、治療薬開発とその作用機序解明の研究にも利用することができる(図2)。

 

臨床用iPS細胞株について
本研究室では、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の再生医療用iPS細胞ストック http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/research/stock_application.html を使用して研究を進めている。
http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/research/img/stock/ips_stock_for_donor.pdf?1503645830816

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